大江健三郎の小説に『同時代ゲーム』という恐ろしく意味不明で難解な小説がある。

 人によってはトラウマのような感じで今も嫌いな小説で大江健三郎の悪文を象徴する駄作と称していい感情をもたない読者も多い。

 『死者の奢り』や『飼育』や『個人的な体験』の大江健三郎作品は好きだが、きっぱり、大江健三郎の作品で『同時代ゲーム』だけは嫌い!と批判的な駄作と考える大江健三郎の愛読者もいるようでもある。

 冒頭は大江健三郎からの手紙のように妹よ・・・で始まるが恐ろしく難解な文章で大江健三郎の世界の成り立ちとか、神話が語られていくのだが、読んでいて投げ出したくなる。  

 第一の手紙 メキシコから、時のはじまりにむかって  妹よ、僕がものごころついてから、自分の生涯のうちいつかはそれを書きはじめるのだと、 つねに考えてきた仕事。いったん書きはじめれば、ついに見出したその書き方により、迷わず書きつづけるにちがいないと信じながら、しかしこれまで書きはじめるのをためらってき た仕事。それを僕はいま、きみあての手紙として書こうとする。
  
続きを読む