大江健三郎研究ノート

ノーベル賞作家の大江健三郎を考えるブログ。自分なりに作家・大江健三郎を考えたことの考察というか研究ノート。

F・ベーコン

F・ベーコンの肉体の表現と同和問題


 大江健三郎が画家のフランシス・ベーコンを高く評価する理由はどうも同姓愛の性的少数者の問題だけではないようにも思える。

 フランシス・ベーコンが自分の肉体を表現する際にこのような言葉を残している。

「わたしたちは肉である。いつかは死骸になる」

ベーコンは、そう言っていた。この絵を描いた頃のベーコンは30代半ば。画家としては無名であり、そもそも美術の教育など受けたことがなかった。

だが、この絵には確かな感情のほとばしり、「叫び」がある。肉の塊と化した生き物は、それでも大きく口を開け、何かを叫んでいるのである。

「人間の叫ぶということは、こういうことなんだ」

小説家・大江健三郎氏の耳には、ベーコンの叫びが聞こえている。

「一個の人間が叫ぶ。恐怖によって叫ぶ。怒りによって叫ぶ。悲しみによって叫ぶ。その叫び声が、こんなに見事にとらえられている絵はない。しかもこれは美しい」

「僕は美しいと思うんですね。フランシス・ベーコンという人が、戦後から21世紀までの絵の世界を完全にリードした人だということを、いま改めて感じています」

混沌の画家「フランシス・ベーコン」。心をえぐるその美

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F・ベーコンと大江健三郎


 大江健三郎が高く評価する画家に20世紀の絵画の巨匠のフランシス・ベーコンがいる。

 フランシス・ベーコンなのだが同性愛の画家であって、人間の狂気を表現しながらも訴えるものが強い作風で現代美術を知っている人ならば避けて通れない重要な画家でもある。


 フランシス・ベーコン(Francis Bacon、1909年10月28日 - 1992年4月28日)は、20世紀のアイルランドを代表する画家。抽象絵画が全盛となった第二次世界大戦後の美術界において、具象絵画にこだわり続けた人物である。

 20世紀最も重要な画家の一人で、現代美術に多大な影響を与えた。

 作品は大部分が激しくデフォルメされ、歪められ、あるいは大きな口を開けて叫ぶ奇怪な人間像であり、人間存在の根本にある不安を描き出したものと言われている。

 大きな口を開けて叫ぶ姿は、口を開けた状態の歯がたくさん載った写真集(歯医者向けのものと思われる)や、映画 『戦艦ポチョムキン』 の中で、銃で額を撃たれて叫ぶ老女の姿を参照している。

 フランシス・ベーコン (芸術家)
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