大江健三郎は画家でフランシス・ベーコンのことを書いているが、どうもシュールな画風のスペインの画家のサルバトール・ダリは評価していないようだ。
溶解した時計を表現したサルバトール・ダリに関しても好き嫌いが激しい画家である。
グロテスクで暗いが美しさもあるフランシス・ベーコンが嫌いな画家で自分は好きではないと批判的な人もいるようにサルバトール・ダリの明るくてグロテスクで美しい絵が嫌い、という意見も当然ある。
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ダリは、1936年に制作した『茹でた隠元豆のある柔らかい構造(内乱の予感)』がスペイン内戦を予言したと称し、「完全なダリ的予言の例」として文字通り自画自賛している。
ほかにも自己顕示的で奇妙な言動は多く、講演会で潜水服を着て登壇したはいいが、酸素供給が上手くいかずに死にかけたことがある(1936年、ロンドン)。
象に乗って凱旋門を訪れたり、また「リーゼントヘア」と称してフランスパンを頭に括りつけて取材陣の前に登場するなど、マスコミに多くのネタを提供した。
しかし、こうした人気取りとも思える一連の行為は同時代の画家達のひんしゅくも買った。また政治的な意味での奇行には、パブロ・ピカソら同時代の芸術家たちからも大きな反感を買っていた(ピカソには『フランコの夢と嘘』などの作品がある)独裁者フランシスコ・フランコを公然と支持したことなどがある。
今日ではダリの上向きにピンとはねたカイゼル髭と目を大きく見開いた顔は、「アート」そのものとして認知されるほどの人気であり、スペインのシンクロナイズドスイミングチームが水着の柄に採用して競技会に出場したことがある。
口ひげの形をどうやって維持しているのかと質問された際に「これは水あめで固めているのだよ」と答えたという。
サルバドール・ダリ